ニブペンで書くカリグラフィーに適したインクの特徴を紹介
はじめに
ニブペン(またはディップペン、つまりはつけペン)で書くカリグラフィーに向いたインクとはどのようなものか、気になる方は多いかと思います。
だからといって片っ端から試していくのも時間と手間がかかります。
ましてや現在世に出回っているインクを全て買う、というのも色々な点で大変です。
(万年筆好きな方はその限りではありませんし、インク沼という言葉もあるくらいで、インクにすっかりハマっている方も一定数いますけども。)
そんな中、筆者は11年に渡りカリグラフィーを嗜んで参りまして、それなりの種類のインクを試してきています。
ということで、ニブペンで書くカリグラフィーにおすすめのインクを何点か紹介していこうと思います。
記事は何回かに分けて、以下の通りに進めていく予定です。
- カリグラフィーの書き方、線の表現方法について
- カリグラフィーに向いたインクの特徴とはどういうものか
- カリグラフィーに向かないインクの特徴とは
- おすすめのインク
今回は、上記のうちの2つ、「カリグラフィーの書き方、線の表現方法について」と、「カリグラフィーに向いたインクの特徴とはどういうものか」についてお話します。
それでは、進めて参りましょう。
※以下でお話することは、あくまで好みの問題ですので、みなさんのインク選びの参考までにということでお願いいたします。
カリグラフィーの書き方、線の表現方法について
書き方といいますか、書く線の表現方法として、
ニブ幅と同じ太さで始まり、だんだんと気持ち細くなり、中間辺りからまた徐々に気持ち太くなりニブ幅で終わる(いわゆるトン・スー・トンという感覚)
細い線はヘアラインと表現できるまで細く
払いにかすれが出ること
上記の最初は、線の姿を表す別の表現として「ボン・キュッ・ボン」というのもあります。こちらの方が分かりやすいかも知れません。
基本的に、このような線の表現を駆使して文字を書き上げているのです。
カリグラフィーに適したインクの特徴
そもそもインクの特徴とは?
カリグラフィーをニブペンで書く際に気にしているのは、
- インクの粘度、つまりインクの粘り気
- 長期保存向き
- つや消し
の3点です。
その中で、99%を占めるといっていいほど最重要なのは、1番目のインクの粘度になります。
インクの粘度は、
- 文字の書き心地
- 書きやすさ
- 表現のしやすさ
といった文字を書くことを大きく左右するほど大切なことなのです。
特に3番目については、先に「カリグラフィーの書き方、線の表現方法について」で述べました。
意外なことですが、ここれは見落とされているように感じますが、いかがでしょうか。
では、インクの粘度はどのくらいが良いのか。
それは、「絶妙な粘度」です。
???
とはてなマークが浮かんだ方も多いでしょう。
わかりにくい表現で申し訳ありません。
ただこれが、様々なインクを試した結果得た、カリグラフィーに適したインクの感覚なのです。
絶妙な粘度とは?
しかしこれでおしまいでは如何ともし難いですので、他の表現を筆者の稚拙な語彙力から振り絞ってみます。
絶妙な粘度とは、
- 書き心地が滑らかで円やかでマイルド。
- インクの中の粒子を感じる。
- 目の極細かい砥石に水をかけて刃物を研いでいる感覚。
- 書いていて気持ちがよい、心が弾む。
- 書くことに集中できる。
- 上手くなったんじゃないかとさえ思える。
以上のような感覚を抱くことができるのが特徴です。
ご理解いただけるでしょうか?
長期保存に適していること
カリグラフィーに向いているインクの特徴の99%はインクの粘度だといいましたが、残り1%のうちの一つが、長期保存に適したインクかどうか、ということです。
これもあまり、といいますかほとんど気にかけていないかと思われますが(自分がそうでした)、インク選びを間違うと、書いた文字が消えてしまう可能性があるのです。
なぜ文字が消えてしまうのか。
それは、光に弱いインクがあるのです。
完成作品を直射日光に当てることはあまりしないと思いますが、屋内に飾っていれば照明の光が当たります。長期間飾っていれば、文字が完全に消えることは無いにしても色褪せる可能性は十分考えられます。
せっかく完成させた作品が消える、ないし色褪せることは避けたいものです。
そうならないように、長期保存に適したインクを選ぶようにしましょう。
長期保存に適したインクの特徴は、
- 耐光性(これは必須条件)
- 耐水性(これはあれば良い程度)
になります。
以上のような特徴は、顔料系インクに見受けられます。
乾燥時につや消し
これは好みで大きく左右されることですので、あまり重要ではないのですが、乾燥時につや消しになるのが好ましいことを主観で申しますと、
- 字が紙に馴染んだ感じがする
- 落ち着いた雰囲気になる
といった感じです。
ただ、あくまでも好みの問題です。
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