ニブペンで書くカリグラフィーにおすすめのインクを厳選して紹介

ニブペンで書くカリグラフィーにおすすめのインクを厳選して紹介

はじめに

まずはじめに、前々回の「ニブペンで書くカリグラフィーに適したインクの特徴を紹介」にて、「各インクメーカーのインクの特徴」を紹介する旨を申しました。

しかし今はその紹介をする機会ではないと思っています。

というのも、現在国内で入手不可もしくは高額取引されているインクが多々あり、これは海外でも同様のようです(筆者調べ)。

入手しづらいインクを今紹介しても意味がないと判断した次第です。

ですので今回は、比較的簡単に国内入手可能なインクを紹介し、その中から厳選したおすすめのインクを紹介することにします。

各インクの紹介

Dr. Ph. Martin’s

ドクターマーチンのインクは、昨年の混乱(国内販売中止云々)も落ち着き、現在はAmazonの同社公式セラーアカウント「Dr. Ph. Martin’s (JP)」にて購入可能です。

そのため、国内ではあまり出回っていなかったインクシリーズも入手可能となっており、選択の幅が広がりました。

ですので、ドクターマーチンのインクシリーズのほとんど、カリグラフィーに向いているであろう(と筆者の独断した)インクを入手し試していますので、それらを紹介していきます。

Calligraphy Dye Color

このインクは、米国公式サイトでは掲載されていません。どうも日本のみの販売らしく、こちらは在庫限りで日本販売終了の模様です(正確な情報は不明です)。

Wikipediaによると、Radiant Concentrated Water Colorから厳選した24色、とのことですので、そちらを使用することをおすすめします。

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(粘度は低い)
  • 染料由来
  • 全24色

Radiant Concentrated Water Color

Calligraphy Dye Colorと中身同じでは?という意見もあり。私見では、書き味はほぼ同じ、色味が微妙に異なるような気がする、という程度の差しかないと思います。Wikipediaでは、Calligraphy Dye Colorと同じとの記述もあります。

こちらは引き続き日本でも入手可能です。

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(粘度は低い)
  • 染料由来
  • 非耐久性
  • 非耐光性
  • 目詰まりしにくい
  • 透明性
  • 全56色

光に弱いため作品用には向きませんが、練習用として使用するには問題ないと思います。

サラサラしているので、インクのつけ過ぎに注意すれば、ヘアラインや掠れ表現も可能です。

色数もドクターマーチンのインクシリーズ中最多の56色と豊富なので、様々な色での表現が可能です。

Bombay India Ink

日本で入手可能です。といいますか、Amazonの同社公式セラーアカウント「Dr. Ph. Martin’s (JP)」のトップページに掲載中です。

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(粘度は少し低め)
  • 顔料由来
  • 耐久性
  • 耐光性
  • 耐水性
  • 目詰まりしない
  • 黒色、白色以外は透明性
  • 全24色

サラサラしていますが、Radiant Concentrated Water Colorほどではありません。

顔料由来ですので、長期保存向きで光にも強く、乾けば水にも強いインクです。黒と白は不透明インクで、その他は透明インクです。

Hydrus Fine Art Watercolor

  • 書き味(インクの粘度):滑らか系、まろやか系
  • 顔料由来
  • 耐久性
  • 耐光性
  • 耐水性
  • 目詰まりしない
  • 透明性
  • 混色可
  • 全36色

書き味もしくはインクの粘度を「滑らか系、まろやか系」と表現していますが、「ニブペンで書くカリグラフィーに適したインクの特徴を紹介」にて書きました「絶妙な粘度」というものになります。詳しくはそちらをお読みいただければ。

顔料由来ですので、長期保存向きで光にも強く、乾けば水にも強いインクです。

ドクターマーチンのインクシリーズで唯一、混色が可能なインクです。

ヘアラインや掠れは思いのままに表現可能です。また、線の強弱表現(ボン・キュッ・ボン)もしやすいインクです。

Iridescent Calligraphy Color

  • 書き味(インクの粘度):ネットリ系(高い)
  • 顔料由来
  • 耐久性
  • 耐光性
  • 耐水性
  • 目詰まりしやすい
  • 不透明
  • ラメ入り
  • 全24色

粘度は高く、ネットリとしています。そのままでは書きづらいので水で適度に薄めて使用することをおすすめします。

水で適度に薄めることで、ヘアラインや掠れ表現は可能になります。

顔料由来で、長期保存向きで光にも強く、乾けば水にも強いインクです。

このインクの最大の特徴は、ラメ入りです。使用場面は考慮する必要があるかもしれません。

Spectralite Liquid Acrylic

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系と滑らか系の間
  • 顔料由来
  • 耐久性
  • 耐光性
  • 耐水性
  • 目詰まりしやすい
  • 不透明
  • 全36色

サラサラ系と滑らか系の間の粘度になります。

顔料由来で、長期保存向きで光にも強く、乾けば水にも強いインクです。

Synchromatic Transparent

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(低い)
  • 染料由来
  • 非耐久性
  • 非耐光性
  • 目詰まりしない
  • 高い透明性
  • 全38色

光に弱いため作品用には向きませんが、練習用として使用するには問題ないと思います。

サラサラしていて、透明度がかなり高いインクです。

元来は写真やフィルムへの色付け用で、エアブラシでの使用を想定しているとのことです。

Tech Drawing Ink

  • 書き味(インクの粘度):シャバシャバ系(極めて低い)
  • つやあり
  • 顔料由来
  • 耐久性
  • 耐光性
  • 耐水性
  • 目詰まりしない
  • 透明性
  • 全14色(実際は12色?)

インクの粘度はシャバシャバ系していて極めて低く、背景の色付けなどに向いているかと思います。

顔料由来で、長期保存向きで光にも強く、乾けば水にも強いインクです。

乾燥するとつやが出る気もします。

Black Star HI-CARB India Ink

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(少し低め)
  • ツヤあり
  • 顔料由来
  • 耐久性
  • 耐光性
  • 耐水性
  • 目詰まりしない
  • 不透明

インクの粘度はサラサラしています。

顔料由来で、長期保存向きで光にも強く、乾けば水にも強いインクです。

黒黒していますが、乾くとつやが出ます。

Black Star Matte India Ink

残念ながら、高値取引になっていまして入手出来ない状況ですので、試すことが出来ていません。

Winsor & Newton

ウィンザー&ニュートンも、日本ではよく使われているインクで、Drawing Inkは入手も簡単です。Calligraphy Inkはネット通販では入手可能ですが、店頭で見たことはありません。

Drawing Ink

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(少し低め)
  • 染料由来
  • 非耐久性
  • 非耐光性
  • 耐水性
  • 混色可
  • 透明性
  • Black Indian Ink and Whiteは顔料由来で耐光性あり
  • 全26色

光に弱いため作品用には向きませんが、練習用として使用するには問題ないと思います。ただし、Black Indian InkとWhiteは顔料由来ですので、光に強いです。

乾くと水に強くなります。

インクの粘度はサラサラしています。

混色が可能で、様々な色が作れます。

Calligraphy Ink

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(少し低め)
  • 顔料由来
  • 耐久性
  • 耐光性
  • 非耐水性
  • 全18色

インクの粘度はサラサラしています。

顔料由来で、長期保存向きで光にも強いですが、水には弱いです。

赤蓋がつや消し黒、青蓋がつやあり黒です。

Talens

Ecolineも入手しやすいインクです。ですが、その他の銘柄のインクが入手困難で難儀しています。

Ecoline

  • 書き味(インクの粘度):サラサラ系(低い)
  • 染料由来
  • 非耐光性
  • 透明性
  • 混色可
  • 全60色

光に弱いため作品用には向きませんが、練習用として使用するには問題ないと思います。

インクの粘度はサラサラしています。

混色が可能で、様々な色が作れますが、60色もあるので色幅が非常に広がります。

名村大成堂(アートカラー)

Art Calligraphy Inkは、実は一次情報が不明で詳細分からずじまいなのです。名村大成堂さん自身は筆のメーカーさんで、公式サイトも筆中心で、Art Calligraphy Inkは掲載されていません。

Art Calligraphy Ink

  • 書き味(インクの粘度):滑らか系、まろやか系
  • ヘアライン書ける
  • 掠れが出る
  • ボン・キュッ・ボンになる
  • 染料由来
  • 全13色
  • 混色可

書き味はいわゆる「滑らか系、まろやか系」です

染料由来で、混色可能とのことです。

ヘアラインや掠れは思いのままに表現可能です。また、線の強弱表現(ボン・キュッ・ボン)もしやすいインクです。

おすすめのインクは…

何となく分かってしまっているとは思いますが、以下の2種です。

理由は、前述した通り、書き味がいわゆる「滑らか系、まろやか系」で絶妙な粘度を持ち、インクフローがコントロールしやすく思い通りの線を書くことが出来るからです。

おわりに

以上、各インクの特徴とおすすめインクを紹介しましたが、試していないインクがまだまだあります。入手しづらいインクばかりですが、もう一度入手方法を探ろうと思います。入手できた暁には、また紹介したいと思います。

 



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